クラウン用語解説集

 

QAVOPEDIA

【Clown・クラウン】

 クラウンとは紀元前から続く専門家としての道化師の総称です。紀元前2270年頃の古代エジプト王が編纂した記録書には「心に喜びを与え、快楽をもたらす神の御霊」と表現されたクラウンの存在が記されています。“クラウン”という呼び方が始まったのは中世のイギリスの道化師グリマルディからだと伝えられています。

 世界各国に古くからクラウン的な役割を担う人々がいて、地域の宗教や社会的背景から生まれた儀式や祭典で即興的にショーを作ったりしていました。クラウンの持つ喜劇的な要素は、世界各国の文化にも同様な存在を確認することができます。そのような喜劇的な古来の伝統芸が我々のもつ人間性そのものに根ざしているからなのです。それに当て嵌めると、日本では狂言の太郎冠者などがある意味クラウン的な存在とも言えます。日本の伝統的なお祭りに出てくるオカメやヒョットコなどは、天宇受売命や火吹き男が起源とされている滑稽なキャラクターですが、天岩戸の逸話で知られる天宇受売命は「神々を笑わせる」存在だったといわれています。そのように世界各地の文化から笑いを担う存在が出現し、そのなかのひとつがクラウンとして今も続いているのです。ヨーロッパからアメリカに伝わったクラウンはサーカスなどで人気者になり、やがて漫画のキャラクターになったりします。時代によってクラウンも変化し、映画産業が盛んになってからは、チャップリンやキートンやロイド、マルクス兄弟、ローレル&ハーディなどの人気者を輩出してきました。クラウンは悲しい出来事や暗い時代を明るい笑いで吹き飛ばすエネルギーを人々に提供するという役割を持っている存在なのです。

 日本ではクラウンとピエロを混同して、どちらも合わせてピエロと呼ぶ風潮がありますがクラウンとピエロは歴史的背景が違います。ピエロにもクラウン的要素はあるのですが、クラウンとは少し異なる存在です。ピエロというのはフランスの無言劇に登場した人物が始まりで、イタリアの古典劇“コメディア・デル・アルテ”の登場人物から発展したもので、ジョーカーのように狡猾で残忍な性格も併せ持っているのが特徴だとされています。最も人気を博したピエロで有名なのは、マルセル・カルネ監督の映画『天井桟敷の人々』のモデルにもなったジャン・ガスパール・ドゥビュローです。パントマイムの天才だった彼のスタイルが、現代のピエロの原型になっているという説もあります。彼はあまりにも人気だったため、日常生活でも常に人々がつきまとい、いつも群衆を追い払うことに苦悩したあげく、ついにある日相手を殺してしまったのだそうです。裁判では彼の“声”を聞きたいという理由で傍聴希望者が殺到したという記事が残っています。殺人を犯した彼が最後の舞台で流した観客に対するお別れの涙が、パントマイム等でよく見るピエロメイクの涙のルーツになっているといわれています。

 ピエロについてはほかにも諸説ありますが、ピエロはたいてい悲しみを内に秘めたキャラクターとして登場します。おどけたり、みんなに笑われたりしながら心の中ではみんなに愛されたいという思いが強く、誰にも理解されない孤独を抱えている印象があります。日本でいちばん定着した道化師のスタイルでしょうか。日本ではどうやら、ピエロの印象がとても強かったので、クラウンそのものを「ピエロ」と呼ぶことが一般的になってしまったようです。ただ、ピエロというと、白塗りの顔、ダボダボのつなぎ服、とんがった靴、といった姿が思い浮かぶと思いますが、クラウンのビジュアルはさまざまでスタイルに特に決まりはありません。言葉を話さないクラウンもいれば話すクラウンもいます。派手な衣裳を着るクラウンもいれば、地味な服装のクラウンもいます。メイクをしないクラウンも、赤い鼻をつけないクラウンもいます。

 日本では1963年にNHKで放送されていた『魔法のじゅうたん』というテレビ番組に『3人のクラウン』というコーナーがあり、坂本新兵さん(『ピンポンパン』しんぺーちゃん)、高見映さん(『できるかな』のっぽさん)、辻村真人さん(『忍たま乱太郎』学園長の声)がそれぞれクラウンに扮して無言劇のコメディを演じていました。ごく普通に“クラウン”という呼び方をしていたので、当時日本でも普通にクラウンをクラウンと呼んでいたようです。昭和30年代ごろからと推定されますが、なぜ、日本ではクラウンぜんぶを「ピエロ」と呼ぶようになってしまったのかはよくわかっていません。

 海外のクラウンや、海外で勉強した、あるいはクラウンカレッジ出身の日本のクラウンは長年にわたりクラウンはピエロと同じではないと主張し続けてきましたが、なかなかクラウンの呼称は普及しませんでした。欧米ではピエロというのはすでに死語になってしまっているため、海外のクラウンのなかには、「ピエロ」と言うのは「クラウン」の日本語訳なのだと思い込んでいるアーティストもいるぐらいです。

 お客様に笑いと喜びと感動を届けるのがクラウンの役目です。そして、社会や人を洞察し、表現によって観客と心の交流をし、喜怒哀楽などの感情を共有するのがクラウンの役目です。

 これを読んだみなさんは、どうか、ピエロではなくクラウンと言って下さいね。


【Dead&Alive・ デッド&アライブ】

「死ぬか生きるか⁉」に匹敵するような厳しい決断を迫られる状況を表す時に使われる古い慣用表現です。クラウンの“Dead&Alive”の演目ではそんな選択を迫られる展開が次から次へと続くのです。また、後半ではクラウンのひとりが死んだふりをして仲間を騙します。そんな「死んでるけど(本当は)生きてる」という意味もかけられています。


【Double take・ ダブルテイク】

 日本のお笑いの世界に“二度見”というのがあり、それとよく似ているのですが、クラウンのダブルテイクはそれとは少し違います。二度見は、一瞬見過ごしたものをもう一度確認して驚く、というもので、わりとスピーディーに行います。一方、クラウンのダブルテイクは、まず見て、一度考えても分からないのでもう一度見てやっと気付く、というものです。二度見ほどスピーディーには行いませんが、感情の変化を段階ごとにテンポよく表現します。ダブルテイクはクラウンのパフォーマンスにはとてもよく出てきますので気をつけて見てみて下さい。


【Freeze・ フリーズ】

 クラウンギャグのラストはだいたい追いかけっこになってしまうことが多いのですが、追いかけっこになる直前などに一瞬、凍りついたように動作が止まります。また何かにびっくりした時に、すぐに次の行動に移れずに固まってしまうこともあります。これらはクラウンギャグ独特の動きですが、クラウン以外のコメディにもたびたび使われています。


【Gibberish&Babbling・ ジブリッシュ&バブリング】

 ジブリッシュというのは所謂チンプンカンプン語のことです。想像上の架空の言語なので、聞いている人には言葉の意味が全くわかりません。しかし〇〇語という以上は言葉にちゃんと意味があります。あるいは、意味があるように喋るのがジブリッシュで、ちゃんと相手に伝えるべき内容があるのです。一方バブリングはまったく言語のていをなさないメチャクチャなお喋りのことです。

 クラウンには喋るキャラクターもいれば喋らないキャラクターもいますが、特定の言葉ではないジブリッシュやバブリングで喋るキャラクターもいます。

 トムとジェリーはちゃんとした台詞を喋りますが、アニメのスヌーピーとウッドストックはジブリッシュで会話しています。


【Hello・ハロー】

 よく、うたのおねえさんなどが客席に「みなさ〜ん、こんにちはぁ〜」と呼びかけると、客席から「こんにちはぁ〜」と返す、あのやりとりと同じことです。だいたいショーの冒頭で掴み的に行われることが多いのですが、ショーの途中でも、ロックコンサートのコール&レスポンスのように客席との言葉の掛け合いをすることもあります。客席のみなさんはぜひとも元気な声で返事をして下さいね。クラウンによってはすねて、なかなか次に進めてくれないこともあるかもしれません。


【Led nose・赤鼻】

 クラウンには鼻が赤いキャラクターが多いですね。どうやらこれは酔っ払いの鼻を表現しているという説もありますが、1860年代のドイツのサーカスに出演していたトム・ベーリングが間違ってショーの輪に巻き込まれて転んで鼻血が出た顔が面白かったとか、その後1980年代にリングリングのレジェンド・クラウン、ルー・ジェイコブズが初めて赤い付け鼻をしたとか、様々な赤い鼻伝説があるのです。

 そんな感じで諸説あって、実はあまりはっきりはしてません。

 ただ、酔っ払いや鼻血が由来と言われるだけあって、赤鼻は大マヌケの象徴だということです。どんなに偉そうにしていても、どんなに得意気にしていても、どんなにうまく取り繕っていても、結局のところその正体は大マヌケということなのです。

 ホワイトフェイスの中には、スマートにリーダーシップをとるキャラクターもいて、そういったクラウンは赤鼻じゃない場合もあります。キャラクターの役割や性格、性質によって赤鼻だったり赤鼻じゃなかったりするのです。赤鼻クラウンは大マヌケ、赤鼻じゃないクラウンは大マヌケじゃない、ということですね。大マヌケじゃないって言っても、それでも並のマヌケかちょっとマヌケかってことですが……あまり利口ではなさそうです。

 ピエロはかなり狡猾な性格の持ち主なので赤鼻じゃありません。といっても、日本ではクラウンもピエロも混同されてますのでそのへんは曖昧にされてしまってますが、本来はそうなのです。


【Meet&Greet・ミート&グリート】

 イベントやパークの入り口や広場、あるいは劇場の入り口やロビーなどで、回遊しながらお客様の歓迎をするパフォーマンスです。特にディズニーリゾートでは“グリーティング”と呼ばれているものですが、日本では一般の人たちにもグリーティングという言い方が浸透してきたため、イベント業界でもグリーティングという言い方をすることが多くなってきました。


【Slap・ スラップ】

 叩く、ひっぱたくという意味ですが、ここで言うスラップとは叩いたりひっぱたいたりしたような擬音を出すテクニックのことです。ほとんどの場合、叩かれている方がスラップというテクニックを使って音を出してますが、叩く役の人とタイミングが合わないとおかしなことになってしまうので息を合わせるのに慣れが必要です。

 QAVOの演目では、Dead&Aliveの後半でスーリーがまこっちゃんの頭にぶつかって倒れる時にスラップをしているので、よく見てくださいね。


【Shoes・ 靴】

 クラウンは大きい靴を履いています。これは子どもが大人の靴を履いているイメージなのだそうです。そういえばクラウンの衣裳もブカブカなものが多いですね。いたずらっ子って感じですね。大人のまねをしている子ども、ということで、クラウンが子どもの心を持っているということを、大きい服や大きい靴で表現しているのです。


【Three faces・ スリーフェイス】

 クラウンはメイクのタイプによって大きく3つに分類出来ます。

 まずホワイトフェイス。白塗りメイクのクラウンで、いつもリーダー格でみんなに指図したりしますが、あんまり威張っているととんでもない仕返しをされてしまうことがあります。ビアンコと呼ばれているクラウンは典型的なホワイトフェイスです。

 次はオーグスト。いろいろな色を使った派手なメイクのクラウンで、とてもいたずら好き。ホワイトフェイスに仕返しをしたりするのもたいていオーグストが多いのですが、いたずらが過ぎると自分がとんでもない被害を受けてしまうこともあります。1864年イギリスのサーカスに登場したクラウン、トム・ベーリングの芸名が語源になっています。

 そしてキャラクター。演じる人の顔の構造や表情を生かしたメイクをします。メイクでヒゲを描くスタイルが多いのも特徴です。トランプやホーボーと呼ばれる放浪者スタイルのクラウンもキャラクターに入ります。チャップリンが演じるチャーリーもキャラクターのクラウンです。また、メイクをほとんどしないキャラクターもあります。衣裳も一般の人と区別がつかないものを着て、街中でハプニング的に展開するパフォーマンスを行うクラウンもいます。

 QAVOのふたりはどちらもオーグストです。


【Twisting balloons・ バルーン】

細長い風船をねじって動物などの形を作ります。以前はパーティ会場を風船などでデコレーションすることをバルーンアートと呼んでいましたが、近年はツイストバルーンで動物などを作るパフォーマンスもバルーンアートと呼ばれるようになってきました。

QAVOでもパフォーマンスでのノベルティやミート&グリーとなどでのギフトとして配ったりしています。最近男の子に限らず女の子からもリクエストが多いのが「剣」で、子どもたちにとても人気なのですが、QAVOではバルーンとはいえ武器のリクエストには応じませんのであしからず。


【Walk around gag・ ウォークアラウンド・ギャグ】

 サーカスなどでリングサイドを練り歩いたり、パレードなどをする際に、いろいろな設定付けをして連続的なギャグを行うことを言います。ソーセージを追いかけるパン、泥棒を追いかける警官、探検隊や宇宙人など、特定の場所にとどまらず移動しながら展開します。

 QAVOにも「ゴキブリとスリッパ」というマテリアルが出来ました。